息子の洗礼式 その2

前前回の投稿に引き続き、再び息子の洗礼式について。
今回はマケドニア正教の洗礼式の様子についてお話したいと思います。

私たちが洗礼式を行った聖クリメント教会の地下にはホールがあり、
洗礼式はそこで行われます。
神父様が2本のろうそくに火を灯し、それをゴッドファーザーに渡すと
式の始まりです。
式ではまず、神父様が洗礼について書かれた本を歌にして読んでくれます。
私たちはそれを静かに聞かなければいけないのですが・・・
その間、息子はろうそくが持ちたくて、
”ろうそくちょうだい!ちょうだい!!ちょうだーい!!!”の連発。
ろうそくがもらえないと分かると、ふらふら~、ふらふら~、として
全然落ち着きがありません。

洗礼式

洗礼式

それでも式はどんどん進んで行き、神父様が子供のゴッドファーザーに
”あなたは悪魔を崇めますか?”という問いかけます。
ゴッドファーザーは、”私は悪魔を崇めません”と神に誓い、
いよいよ子供は聖水を浴びます。

洗礼式は宗派や国によっても様々な形がありますが、
マケドニア正教の洗礼式では、幼児洗礼の場合、子供はすっぽんぽんになります。

神父様から、子供の服を脱がすようにと指示があり、
真っ裸にすると、息子は少し緊張していたのか、
”おしっこー!”と言い出す始末。
ちょっと待ってね、とおろおろする私たちをよそに、
神父様が油を塗った筆で子供の体、おでこ、胸、腕、足と順番に十字を書いてきます。

油で十字を

油で十字を

息子はお得意の”ネー!ネーー!!ネーーー!!!”(イヤイヤ期の2歳児です。)
と半泣きになりながら、”もう我慢できないーーーーー!!”
というかのように神父様の前で”じゃじゃじゃじゃじゃー”
かなり大胆におしっこをしちゃったのです。

ギャーーーーーーーーーーーー!!

となる私たちですが、そこは寛容なマケドニア人の皆さん、
”気にしない。気にしない。”と笑って言ってくれます。

そうして息子は泣きながら、神父様に抱かれて聖水に足までつかり、
体全体に聖水をかけてもらいます。

聖水を

聖水を

そして子供の髪の毛をちょっと切るのもマケドニア正教の儀式の一つ。

ヘアカット

ヘアカット

その後子供はゴッドファーザーが用意してくれた新しい洋服に身を包み、
今宵はその服を着たまま寝るのです。

新しい服を

新しい服を

その後息子はずっと泣きっぱなしでしたが、儀式は最後まで滞りなく進行され、
最後に神父様から私たちに対し、”この子は妹が欲しくてないてるんだよ”
との一言があり、その場は笑いに包まれたのでした。

この日は土曜日だったので、次の日曜日のミサ来るようにと神父様からご指示があり、
次の日のミサでワインを頂き、息子の洗礼式は全て終わりました。

息子がおしっこをしてしまったり、泣いたりと
まー騒々しい洗礼式でしたが、その場にいた皆さんの笑顔と愛に包まれて、
心に残る洗礼式となりました。
子供がこれからも神様に見守られながら健やかに成長してくれるといいな、と
改めて思うのでした。

息子の洗礼式 その1

2015年8月29日、マケドニアにて2歳8カ月となった息子の洗礼式を執り行いました。
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マケドニア人の多くはマケドニア正教を信仰しており、
伝統やしきたりを今でもとても大切にしています。
日本でも子供のお宮参りに行く方が多いと思いますが、
マケドニアでは、子供に洗礼を授けることが家族の大切なつとめです。
洗礼式をする時期は特に決まってはいませんが、子供の1歳の誕生日や、
生れて間もなく洗礼式をする方が多いようです。

では、なぜ息子が2歳8カ月になった今だったのか、と申しますと・・・

日本で出産した私は息子が7カ月の時にダーリンと一緒にマケドニアへ渡り、
私のマケドニア生活は、その時からスタートしました。
マケドニアへ来て間もなく、息子を連れてゴッドファーザーご一家に挨拶へ行くと、
早々に”子供の洗礼式はいつにしましょう?”、という話になりました。
マケドニア語がまだチンプンカンプンだった私は、
その場で皆が何を話しているのかも分からず、
マケドニアについてもまだ何も分からない状況で、
自分の息子のことなのに、ただただ言われるがままなことに戸惑い、
ちょっと待って!✋とお願いしたのでした。

また、私自身はカトリックを信仰していることもあり、
自分の子供もできればカトリック教会で洗礼を受けて欲しいという思いがありました。
もちろん、カトリックもマケドニア正教も同じキリスト教。
同じ神様を信じていることに違いはないのですが・・・

それでも、マケドニアではまだまだ男の人を立てる風習が強く残っており、
お義母さんも当然孫の洗礼式はマケドニアで、と思っているようでした。
そのことがひしひしと伝わってくるような会話は時折ありましたが、
私の意志を尊重し、お義母さんが息子の洗礼を強要してくることはありませんでした。

ゴッドファーザーも、マケドニアでは代々受け継がれることが多く、
例えば私たちの場合、ダーリンのゴッドファーザーの息子さんが
私たちが結婚した当初から、私たちに子供ができたら、
”私がゴッドファーザーになりますよ”、と言ってくれていたのです。
ゴッドファーザーのご一家は、ダーリンの家族と古くからの付き合いがあるようで、
私たちのことも常に気にかけて下さり、とても素敵なご家族です。
このご家族が息子のゴッドファーザーになってくれるのであれば、
とてもありがたいこと、という思いもありました。

子供の洗礼については、子供を授かって以来、ダーリンとも度々話し合い、
色々悩んできたのですが、今までの経緯や今後のことを考えて
やっぱり洗礼式をしてあげたいという思いが強くなってきたのが
”今”だったのです。
色々悩んだ分、やっと息子が洗礼を受けることができ、
式の後は、なんだか少しほっとしました。

息子の洗礼式には特別な思いがあったので、
前置きがとてもとても長くなってしまいました。
ということで、洗礼式がどのように行われたかについては
次回のブログに綴りたいと思います(*´▽`)