マケドニアの医療事情 その1

マケドニアの医療保険制度は日本のものとだいぶ違うと思います。
なんだか複雑で、マケドニアに来た頃より、よく分からないことがあるのですが、
今でも”?”と思うことが色々あります。
医療保険の費用は収入によって違うのは日本と同じですが、
なんだか曖昧な点が多く、
聞く人聞く人みんなちがうことを言ったりするので、
やっぱり、よく分からない(´o`?のですが、
私が知っていること、をいくつかご紹介したいと思います。

まず、一番の違いは、
公立病院では保険が効くけれど、私立病院では保険が効かないということ。
私立病院にかかりたければ、医療費は全て自己負担なのです( ̄Д ̄;;

例えば、子供の医療費は保険に入っていれば、公立病院ではタダですが、
私立病院だと、一度の診察に1000デナル(約2000円)ほどかかります。
もちろん診察内容によってもその費用は変わり、
血液検査や細菌検査、点滴治療などをすると、それに伴ってお値段も上がります。
大人の診察料も公立病院では100デナル(約200円)またはそれ以下だったりするところ、
同じ診察内容でも私立病院では1000デナル、2000デナルとかかります。
日本のように保険が効かないとびっくりするほど高い!ということはないのですが、
公立と私立ではやはり費用がかなり違ってきます。

とは言っても、私立病院ができるようになったのも、最近(10年程前)のことだそうで、
例えばダーリンの故郷、スツルガには私立病院はありません!
なので、マケドニア人の多くは、まず公立病院に行くというのが一般的です。
そんな公立病院に対する私の印象は、大抵どこも建物がとても古くて、うす暗いな、
というもの。
電子カルテを使っているところもほとんどなく(見たことないかも?)、
紙ベースで患者さん情報が管理されており、とてもアナログ的です。
反対に私立病院は外観、内装共に新しく、明るく、事務や看護師さんたちの対応も
格段に良い印象があります。

ともあれ、私達も一応保険に入っており、普段子供が病気をした時は
内心”古いな~”と思いながらも公立病院にかかっていました。
でも、子供(現在3歳)が1歳になったばかりの頃に気管支炎になり、
その頃から何かあると、私立病院にかかるようになりました。
決め手はやはり設備と対応の良さでしょうか。

その時は、風邪をこじらせいつまでも咳が続いていた子供が高熱を出し、
いつも通っていた公立病院の小児科に行くと、
小児気管支専門の別の公立病院を紹介され、
そちらで数日間入院するよう言われました。
そこの先生は小児気管支専門でマケドニアでもトップの先生だと聞いていたのですが
診察室から病室の様子まで、本当にここで大丈夫だろうか・・・と
思わず不安になってしまうような設備なのです。
看護師さんたちの対応も悪く、熱を出してぐずっている子供を抱いて、
どこに行けばよいのかも分かりにくく、ひたすら待たされていたのですが、
ダーリンが私立病院にも小児気管支専門の先生がいる、ということを調べ、
結局先生に会う前にそちらに移ったのでした。

その私立病院での治療は一日に二回の点滴と吸入器による治療。
もし朝夕二回の点滴に通えるのであれば、入院はしなくてもいい、とのことでした。
もちろん外出は禁止ですが、子供にとっては家が一番。
少々大変でしたが、一日二回の点滴に一週間毎日病院に通いました。
費用はおよそ一週間で400ユーロ程。
入院していれば、部屋代も一日当たり100ユーロ程かかっていたようです。
これが公立病院だったら入院費も含め全てタダだったのですが、
それを払ってでも私立病院の方が良かった、と思えるほどだったのです。

私たちの子供は気管支が少し弱いようで、その後も少し体調を崩すとすぐに
胸がゼーゼー鳴り出して、熱が出たりするので、
3歳になる頃まではその度に病院にかかっていましたが、
ドクターもいつも同じ方に診てもらえ、信頼感もあり、
私立病院の方が、色々なことに関してストレスが少ない感じがします。
また、私立病院では外国人の患者も多いため、あまり流暢ではない方が多いですが、
英語での対応もしていただけます。

ただし、マケドニア人の一か月の平均給料は400ユーロとも言われており、
そう考えると私立病院の医療費は、かなり高いのではないかと思います。
そして、公立病院は建物や設備こそ古いですが、腕の良い先生が多い、と
言われているのも確かです。

と、ほとんど私立と公立の違いにフォーカスした話ばかりになってしまいますが、
もう一点私が驚いたことをご紹介したいと思います。

それは、私立病院の先生が書いた診断書は公式文書にならないということ。
昨年ダーリンの妹が妊娠し、私立の産婦人科に通っていたのですが、
彼女は妊娠中期に羊水過少と診断され、しばらく入院し、
その後も自宅で安静にしていなければいけなくなりました。
もちろん仕事に出かけることもできず、病欠の診断書を提出する必要があったのですが、
病欠の診断書は私立病院のドクターが書いたものは有効ではないのです。
そのため、正式の書類を書いてもらうためだけに、彼女は公立病院の産婦人科にも
通わなければならなくなったのです。
彼女は出産も私立病院ですると決めていましたが、私立病院の診察と併せて、
公立病院にも定期的に通い、なんだかんだと妊娠中期以降、
ほぼ毎週のように病院に通っていました。

をの他にも、日本と違うな~と思う医療事情が色々とあるので、
また次回のブログにそのことも綴っていきたいと思います。